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就活ブッダのブログ~涅槃を目指して~

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就活生のための10分財務諸表講座②~貸借対照表(バランスシート)とは

企業研究 企業研究-企業研究のやり方

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みなさん、こんにちは。

ブッダです。

 

今回は就活生のための財務諸表講座パート2である。今回解説するのは、貸借対照表(バランスシートとも呼ぶ)というものだ。バランスシートは企業の資産と負債の状況を示し、企業の安全性を調べることが出来る。つまり就活生にとっては、潰れそうな会社を避けるのに役立つ訳だ。自分で企業研究をするのにも役立つし、日経新聞や週刊東洋経済のようなビジネス誌の記事の理解度も格段に向上する。頑張って勉強して欲しい。

 

バランスシートを理解するうえで重要な点

  • 左は資産、右は負債と純資産から構成されている
  • 必ず左右の額は同じ
  • 企業は借金を返せなくなったら倒産する
  • 資産にも負債にも“流動”と“固定”という概念がある
  • 流動比率という指標で企業の短期的な安全性をチェックできる
  • 自己資本比率という指標で企業の中長期的な安全性をチェックできる

 

では、これらの項目ごとに詳しく解説していこう。

 

左は資産、右は負債と純資産から構成されている

バランスシートは以下のような構成になっている。

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まず、左側には企業の持っている現ナマや在庫や土地や機械といった資産が列挙されている。次に、右側にはその資産を取得するための金の出所が書かれている。

 

純資産は返済する義務がない金で、企業が事業を始める際に用意した金と、事業を行ってきた中で積み上げてきた利益から構成される(本当はもう少し細かい話があるが、バランスシートの本質を学ぶことを優先して割愛)。

 

一方、負債は支払う義務のある金だ。もちろん銀行から借りた金のようないわゆる負債はもちろんのこと、機械を買ったがまだ払っていない金といった買掛金(ツケとかクレジットカードの支払いのイメージ)もここに入る。

 

必ず左右の額は同じ

以上がバランスシートの構成なのだが、これだけ聞いてもイメージがつかみにくいだろう。しかし、企業の創業時から時系列に沿ってバランスシートの変遷を見ることで、バランスシートの仕組みが簡単にわかる。

 

まず、あなたがおにぎり屋を始めると想定して、100万円を元手として現金で用意したとしよう。その時、バランスシートは以下のようになっている。

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この事業を始めるぞと宣言した100万円という金額が資本金である。そして実際の姿である現金100万円が資産として計上されている。

 

次に、あなたが銀行から200万円を借りて、250万円で屋台・炊飯器などを揃えたとしよう。その時、バランスシートは以下のようになる。

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新たに“負債”の欄に200万円という額が追加された。金を借りた直後は300万円の現金を持っていた訳だが、このうち250万円を屋台・炊飯器などの購入に充てたため、資産の欄は現金50万円、機械250万円となる訳だ。

 

ここで、常に左と右の金額の合計が一致していることに気付いたはずだ。これがバランスシートと呼ばれる所以である。ものを購入するということは、その時点では必ず等価交換となっている訳だから、現金が減った分だけ必ず別の形で資産が存在している。

 

ここまで来ればだいぶバランスシートのイメージがつかめてきただろう。では、さらに20万円で米を買ったとする。その時のバランスシートを自分で書いてみよう。

 

正解は…

以下のようになる。機械を買った時と全く同じである。

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さて最後に、この20万円分の米をおにぎりに加工して売った結果、40万円で売れたとしよう。この時バランスシートはどうなるだろうか?正解は以下の通りである。

 

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資産の方では、米20万円分が現金40万円分に変わった。そして、左右をバランスするために増えた20万円はどこに行くかというと、純資産のところにプラス20万円となる。純資産は資本金と利益の合計であったのを思い出してほしい。

 

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より発展的内容のおまけ

ここは全員が読まなくてもいい。前回の損益計算書編では、損益計算書には売れた分だけ計上し、在庫はバランスシートの方で評価すると書いた。そこが気になる人向けの説明だ。

 

結論を言うと、在庫は“棚卸資産”という項目で流動資産の部分に入る。普通にすぐに売れる在庫なら立派な資産であり、何の問題もない。しかし、ロクでもない製品で、全く売れずに破棄することになれば損失となる。したがって、棚卸資産が急激に増加している場合は要注意だ。損益計算書では売れた分だけ売上や原価として書くため、そもそも在庫が積み上がっていても見えないし、利益率が良かったりしたら一層「この会社ちゃんと経営できてるやん」と見えてしまうから注意が必要だ。

 

また、在庫の価値は所詮他人が定量的に測れるものではないので、ある程度は誤魔化しが効く。ということで、売れ残りを抱えて経営がヤバくても、在庫の額を正しく申告せず、バランスシートを健全に見せかけるのはよくある不正会計の手法である。

 

企業は借金を返せなくなったら倒産する

企業が倒産するのは、商品が売れないときでも、大赤字を出した時でもない。借金を返せなくなった時である。まあ、商品が売れなかったり、大赤字を出せば借金の返済もピンチになるのだが、潤沢な貯金があれば当面は大丈夫である。倒産の漠然としたイメージしか持っていなかった人も多いだろうが、きっちり覚えておこう。

 

資産にも負債にも“流動”と“固定”という概念がある

いきなり訂正で申し訳ないが、実は正確に言うと、企業は“流動負債”というものを返せなくなったら倒産するのである。では、流動負債と固定負債の違いは何だろうか?それは返済期限が1年以内なら流動負債、それ以上なら固定負債というだけである。

 

たとえば3年以内に返すという約束で100万円を借りたとしたら、まずは固定負債に100万円計上される。2年後に50万円しか返せてなかったとしたら、流動負債50万円として計上されるようになる。

 

一方、資産の方にも同じルールが適用されるが、流動と固定の違いはそんなに厳密ではない。現金はもちろん、棚卸資産や売掛金(売ったけどまだ金をもらっていないツケ)や株などの証券といったすぐに回収して使える資産が流動資産であり、土地や機械のようなずっと使うものが固定資産というイメージで大丈夫だ

 

さて、ここで前回の記事と同様に花王の平成26年度12月期の決算短信から、バランスシートを見てみよう。

 

資産と負債(流動と固定)、純資産、棚卸資産の総額をチェックしてみよう。

 

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流動比率という指標で企業の短期的な安全性をチェックできる

次に、会社の安全性を調べる指標を述べるが、ここで流動と固定の概念が重要になってくる。流動比率とは、

流動比率=流動資産÷流動負債

で求められる指標で、流動資産と流動負債の比率を表す。上述の通り、企業は流動負債を返せなくなったら倒産する訳だが、すぐに現金化できる流動資産が流動負債より多ければひとまず安心という訳だ。一般的に流動比率は120%以上であればよいと言われている。では、花王のバランスシートから実際に流動比率を求めてみよう。

 

 

 

正解は、

流動資産6417億3400万円÷流動負債3805億3600万円=168.8%

である。十分健全な水準である。

 

もっと学習したい人向けの発展的内容

企業の短期的な安全性をチェックする指標は他にも存在する。1つは

当座資産÷流動負債

で求められる“当座比率”という指標である。当座資産とは、流動資産の中でも即座に確実に現金化できる現預金、受取手形及び売掛金、有価証券などの合計であり、流動比率よりさらにシビアに借金を返せるか見極める指標といえよう。また、倒産のピンチの際に使う手元流動性という指標もあるが、これは興味のある読者の皆さんの自学に任せよう。

 

自己資本比率という指標で企業の中長期的な安全性をチェックできる

いくら近々支払い義務のある流動負債を払えるだけの流動資産があるとしても、莫大な固定負債を抱えていれば、いずれそれらを返せなくなる日が来るだろう。という訳で、資産のうち、負債と純資産(復習だが、純資産は返さなくてよい金である)がどのような構成比になっているか判断するのが“自己資本比率”という指標である。

 

自己資本比率=純資産÷資産

で求められる。正確に言うと分子には“自己資本”という値を使うのだが、自己資本と純資産はほとんど同じ値なので、簡単のため純資産を使えばよい。

 

一般に製造業なら20%以上商社や卸売業のような在庫などの流動資産を多く抱える業種なら15%以上あれば、まあ大丈夫というラインである。金融を除けば、どの業種でも10%を切ると相当ヤバい。再び花王のバランスシートを使って自己資本比率の計算を練習してみよう。純資産6723億9300万円÷資産1兆1982億3300万円=56.1%である(厳密に求めたら54.9%なのだが、この程度の差なので気にしなくてよい)。

 

財務諸表の読み方を学ぶべき理由を述べた記事で東芝の話をしたが、東芝は不正会計をしていた分を修正した結果大赤字となり、純資産が大きく削られた。したがって、自己資本比率が一桁台まで落ちた。東芝は「2019年3月決算までには自己資本比率10%以上にしたい」と言っているようだ。“東芝がヤバい”ということなら大半の中学生でも知っているはず。しかし、財務諸表の読み方学んだことで、どうヤバいのか一歩進んだ理解が出来たはずだ。財務諸表の読み方を学ぶことのメリットを感じられてきただろうか?

 

最後に

もう一度今回のポイントを確認しておこう。

  • 左は資産、右は負債と純資産から構成されている
  • 必ず左右の額は同じ
  • 企業は借金を返せなくなったら倒産する
  • 資産にも負債にも“流動”と“固定”という概念がある
  • 流動比率という指標で企業の短期的な安全性をチェックできる
  • 自己資本比率という指標で企業の中長期的な安全性をチェックできる

 

同業他社を比較するとき、資産の規模、流動比率、自己資本比率を比べてみるとよい。かなり差がついていることも珍しくない。例えば筆者はプラントエンジニアリング御三家(日揮・千代田化工・東洋エンジニアリング)を比較する記事を書いたが、この3社では日揮の財務健全性は圧倒的である。業界一位の売上や利益もさることながら、財務面でも他を寄せ付けない強さを誇るのだ。一方、2014年度に大赤字を出した東洋エンジニアリングの自己資本比率は2016年3月末時点で15.8%まで下がっており、やや危険な水準となっている。

 

「○○社、今期純損失××億円」みたいな日経新聞の見出しだけ見て何となくヤバそうと思うことなら小学生でも出来る。「記事の中身はよくわからんけど、あそこは何となくヤバそう」なんて幼稚なレベルから卒業しよう。今回の内容を理解すればこの手のニュースの理解度は格段に向上するはずだ。

 

損益計算書編に引き続き、今回もこちらの本を参考にした。著者の小宮先生は財務諸表を使った企業研究の記事をたくさん書かれており、財務諸表の解説としては一番わかりやすいと思う。この本は本気で財務諸表の読み方を勉強したい人には絶対のおすすめである。

 

より実践的な企業研究のやり方を知りたい人にはこっちがおすすめ。色んなテーマで様々な企業を対象に、財務諸表を使った企業分析の例が紹介されている。

 

それではこの辺で失礼する。

 

他の財務諸表講座はこちらから

就活生が財務諸表の読み方を学ぶべき3つの理由 

就活生のための10分財務諸表講座①~損益計算書とは 

就活生のための10分財務諸表講座③~キャッシュフロー計算書とは

 

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